GO!みんなの笑顔がもどるまで
「能登はやさしや土までも」そんな言葉が残るこの地で、2024年元日、能登半島地震が襲いました。震災を機に、能登のやさしい土地、人々のやさしい笑顔は無くなりました。
松波の街は大きな被害を受け、大江山の仕込みをしていた蔵も全壊し、大きく変わってしまった日常の風景を前に、なす術もなく立ちすくむのみの状態でした。本来なら酒造りの真最中で、酒米を蒸した蒸気が冬の空へ舞い上がり、酒蔵は活気溢れる時間が流れているはずでした。150年以上続く寒仕込みの風景は、もうここにはありません。
悲しみと絶望に打ちひしがれる中で手を差し伸べてくれたのは、日頃から松波酒造の酒を購入して頂いているお客様でした。全国から沢山の温かい励ましのお言葉を頂き、嬉しさのあまり涙がこぼれました。そして震災後間も無くして、全国の酒蔵から救済の声掛けをして頂き、蔵に残った酒を救出して、酒造りのサポートもして頂ける事になりました。
皆様の応援やサポートから、今後の道筋に光が差しました。そう、いつまでも後ろを振り返っていても何も変わりません。150年以上続く松波酒造の歴史を、ここで終わらすわけにはいきません。「能登はやさしや土までも」という言葉が、今後もみんなの心の中に生き続けるように、私たちは立ち止まらず、復興に向けて前進します。
GO!松波酒造、GO!能登、GO!みんなの笑顔がもどるまで。
私達が作る大江山という酒
大江山の由来は、先祖が京都の大江山より「酒呑童子のごとく豪快に酒を酌み交わして欲しい」と願い名づけられました。大江山は近代的な酒造りとは真逆で、人の手が加わる工程を多く残し、季節に寄り添ってこれまで造られてきました。
松波酒造の蔵では、酒造りに使われる水は蔵の中にある井戸から汲み上げられ、洗米に使われていました。米を蒸すときには和釜甑(わがまこしき)を使い、蒸し加減を見極め、蒸米を最高の状態まで仕上げていきます。酒を搾る時には木製の槽(ふね)とよばれる機械を使い、じっくりと時間をかけて、酒に負担をかけずに搾ってゆきます。大江山の酒は昔と変わらず、人の手が関わる工程の多い製造方法でこれまで造られてきました。
大江山は能登の風土と共に作られた酒です。能登半島は美しく厳しい自然に囲まれた土地。里山里海の自然と共存し、その恵みを食して来た人々に愛されるように、先代の蔵人達が酒の味を磨き上げ、今に至ります。日本食はもちろんのこと、フレンチやイタリアンにも合う、料理を引き立てる味わいがあります。
松波酒造は復興に向けて動き出し、これまでも、これからも「乾杯で人と人との縁を繋ぎたい」という想いのなか、酒造りの歴史を未来へ繋げて行きます。この機会にぜひ大江山の酒をぜひ一度口にしてみて下さい。